[Squeak-ja: 4306] Re: 小学生の情報リテラシー教育について
yhousako
yhousako @ mx2.ttcn.ne.jp
2009年 8月 23日 (日) 13:11:41 JST
寳迫@所沢市立松井小学校です。お世話になっております。
以下、現場教員として肌で感じるところを書きます。一般性までは保証できませ
んので、ご留意の上お読みください。
土本 (Florian) 強 さんは書きました:
> 今、小中学生向けのパソコンの使い方とプログラミング入門の本を書こうと思っ
> ているのですが、小中学校でどの程度情報リテラシーの教育を学校単位で行って
> いるのかを知りたいと思っています。
正直なところ、統一された何かがあるわけでもなく、学校に導入されたICT環境
と教員の力量、力の入れ具合によって全く違うと思って頂いた方がよいと思います。
私は、むしろ家庭の環境や親の知識、意識、態度がどうであるかということの方
が、この分野では重要であると考えています。
#そもそも、小学校における情報教育は、教科ではありませんので、星の数ほど
ある(ちょっと大げさだけどそんな気分)「○○教育群(Ex.安全教育、食育、
キャリア教育、etc…)」の一つに過ぎません。
> 1.キッズフィルタリングをかけたWWWの閲覧
インターネットに接続可能で、Webサイトの閲覧ができる公立の学校では、フィ
ルタリングをかけていないところはないと思われます。むしろ、フィルタリング
がきつすぎて、「使えない」状態のところも少なくないと思われます。
逆に、家庭において子どもたちが使うのに際して、フィルタリングをかけている
家庭の方が少ないのではないかと思います。そういうことをご存知なかったり、
子どもたちのネット利用の状況を把握していない親が多いというのが実感です。
> 2.児童一人一人のメールアドレスの取得
擬似的なインターネット(正体は自治体単位のイントラネットなど)で使える
メールアドレスを配布するということはありますが、インターネットで使えるア
ドレスを配っているところは、かなり少ないと思います。
本市では、Webメールサービスを提供するサイトは、すべてフィルタリングに
引っかかりますので閲覧することさえできません。
#このことは、私にとって非常に不便です。(^_^;;;
むしろ、個人で持っている携帯でメールをしているようです。
#子どもたちは、「パソコンより携帯が欲しい」と言います。パソコンを欲しが
る子は、機械好きな子です。多くの子どもたちにとって、パソコンは大きいし、
ちょっと難しい感じがするみたいです。携帯だと、ゲームや音楽がすぐに楽しめ
るというイメージで捉えているようです。
> 3.個人Webページの作成
htmlで直接書いたり、Webページ作成ソフトで書いたりすることを含めて人気は
ないですね。むしろ、自宅でブログとかプロフみたいに、自動的にWebページの
形にしてくれるようなサイトを良く利用しているみたいです。
> 4.フィルタリングを行わないWWW接続
学校ではあり得ないと思いますが、家庭ではそういう状態の子が多いと思いま
す。それについて、「家庭で注意されたことがあるか」子どもたちに聞いたとこ
ろ、「気をつけなさい」と言われたことがある程度で、具体的に何をどうしろと
いう指示は受けていない子が多いことがわかりました。場合によっては、変なサ
イトを親子で楽しんでいる家庭もあったりして…。(^_^;;;
> 5.児童固有のパソコンの所持
これはさすがに多くないようですね。先述の通り、パソコンよりも携帯の需要が
高いです。子どもたちのやりたいことなら、携帯の方が簡単にできる。たしか
に、パソコンは余計なことがたくさんできるし、仕事に使わないなら必要ないで
すからね。でも、携帯の怖さというものを理解している親子がどれだけいるかと
いうことになると、とても厳しい状況にあると思います。
> 自分専用のパソコン(家族のものを使うのではなく)を持つ
> 制限をつけないモバイルインターネット接続
現状で、自分のパソコンを持っている子は、制限なしでインターネットにつな
がっている子が多いと思います。(モバイルではな子が多いと思いますが)
くどいようですが、携帯の方が需要があるので、パソコンを持つことにどれだけ
前向きに捉えられるかは、わかりません。
> GMailによる個人特定可能なメールアカウント
> Google siteで情報発信
すでに携帯でやっているからそんな面倒なことは進んでしないんじゃないかと。
「情報発信」といったって、表現力や表現したい需要の低い子どもたちには、自
分の個人情報を切り売りする(プロフ)ことやどうでも良いような情報を流す
(場合によっては誹謗中傷、いたずら、著作権侵害、etcというような)ことく
らいしかやることはないかもしれません。
> 基本的には自己責任で、して良いこととしてはいけないことをあらかじ
> め教える
> トラブルが起きたら隠さずに親に頼るよう厳命
これが約束できるくらいなら、ネット上でのトラブルはありませんね。(笑)
今の小中学生のネット利用の酷さについては、悲惨きわまりない状況がありま
す。そもそも、ネット上だけでなく普段の生活が「傍若無人」な子どもたちが多
くなっているのに、ネットの中だけ「自己責任」なんて無理でしょう。
よほど少数精鋭の「お利口ちゃん」チームでも作らない限り、まともなネット
ワークコミュニケーションはできません。
大人の世界でも同様な傾向が見られますが、まともな人間は、ネット社会に見切
りをつけて離れていく傾向にあるとおもいます。もちろん、便利なところは大い
に利用しますが、情報発信だのコミュニケーションだのというあたりでは、ごく
近しい人たちとのやり取りだけにして、自分からコミュニティに参加したり、そ
こで情報や意見を交換したり、自分でコミュニティを育てたりするという人は、
本当に少なくなっていると思います。
#教師が集まるMLなどでも、諸々の理由で消えていったものが少なくないですか
らね。
この件に関しては、まだまだいろいろな要素が絡んでいて、詳しく書かなければ
真意が伝わらないかもしれませんが、あまり続けると、このMLの趣旨からどんど
ん離れていきそうなのでこのくらいにしておきます。
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寳迫 芳人:yhousako @ gmail.com
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