[Squeak-ja: 4307] Re: 小学生の情報リテラシー教育について
"土本 (Florian) 強
"土本 (Florian) 強
2009年 8月 23日 (日) 15:26:12 JST
土本です。
返答ありがとうございます。
以下、話の流れ上引用が前後します。ご了承ください。
#ついでに、なんか思想的な話が続きます。Squeakと無関係で申し訳ありません。
メール「[Squeak-ja: 4306] Re: 小学生の情報リテラシー教育について」(2009/08/23 13:11) に於いて
「yhousako」 語りて曰く、
yhousako> > 基本的には自己責任で、して良いこととしてはいけないことをあらかじ
yhousako> > め教える
yhousako> > トラブルが起きたら隠さずに親に頼るよう厳命
yhousako>
yhousako> これが約束できるくらいなら、ネット上でのトラブルはありませんね。(笑)
今回、いろいろ書いていますが結局最大の問題点とその解決策はここに行き着
くと感じています。
インターネットによる世界のグローバル化は結構行き着くところまで来ていま
すので、今更グローバル化以前の時代には戻れないと思います。mixiやプロフな
どのコミュニティも前時代的な「ご近所関係」とは全然異なる文脈とルールで動
いていると考えるべきです。
こんな世界に子どもを放り込んで、そのまま放置しておいても正しい大人に育
つとはとうてい思えません。と、なると、ある程度のしっぺ返しを社会からくら
いながら、少しずつグローバル化になれていく必要があると思っています。
大人ですらブログの炎上や、ネットストーカーの粘着など、ネット由来のトラ
ブルにきちんと対応できているとは言い難い現状です。ましてや子どもが過大な
ストレスにさらされたときにどうなるのかを考えると、非常に理想論ではあるの
ですが上の2つが最大の憲章になるのかなぁ、と思っています。
yhousako> 今の小中学生のネット利用の酷さについては、悲惨きわまりない状況がありま
yhousako> す。そもそも、ネット上だけでなく普段の生活が「傍若無人」な子どもたちが多
yhousako> くなっているのに、ネットの中だけ「自己責任」なんて無理でしょう。
私の知っている小中学生は20年前のボランティアの時(高校時代、ボランティ
アで地域サブリーダーをやっていました)の記憶なので、現代とどれくらい離れ
ているのかはよくわからずにいます。
でも、その頃の小学生もやはり「無責任」で「傍若無人」だったのは確かです。
やりかけたことは最後までやらず、自分以外の人間が世界にいるという意識すら
も薄いというのが当時の小学生の印象でした。
なので、ネットの中で*だけ*自己責任を彼らに求めるのは非常に難しいと思っ
ています。
むしろ、自己責任を強要させられる環境に彼らを置いて、「何かやりたいこと」
を行う際について回る責任を意識させる必要があると考えています。
2チャンネルやプロフのような匿名性の高い環境でも、すぐに逃げて責任を負
わずにすむとまではいきません。むしろ、匿名性が強いところでこそ責任を負わ
せるための粘着が強いんじゃないかと思います。
実際の所、子供が負える責任の範囲は決して広くありません。ほとんどの場合
は親が出てきて何らかの解消をする必要があると思っています。でも、「世の中
には責任というものがあるのだ」と子どもに認識させるだけでも、かなりの教育
になるんじゃないかと思っています。
yhousako> よほど少数精鋭の「お利口ちゃん」チームでも作らない限り、まともなネット
yhousako> ワークコミュニケーションはできません。
yhousako>
yhousako> 大人の世界でも同様な傾向が見られますが、まともな人間は、ネット社会に見切
yhousako> りをつけて離れていく傾向にあるとおもいます。もちろん、便利なところは大い
yhousako> に利用しますが、情報発信だのコミュニケーションだのというあたりでは、ごく
yhousako> 近しい人たちとのやり取りだけにして、自分からコミュニティに参加したり、そ
yhousako> こで情報や意見を交換したり、自分でコミュニティを育てたりするという人は、
yhousako> 本当に少なくなっていると思います。
yhousako>
yhousako> #教師が集まるMLなどでも、諸々の理由で消えていったものが少なくないですか
yhousako> らね。
ごく近しい人間としか連絡を取らなくなる傾向があるのは理解しています。こ
れは、急激なグローバル化の反動であろうと思っています。
ネット上の情報はノイズの量があまりに多く、またコミュニケーションにかか
るコストも非常に大きいので、効率を求める大人はインターネットからある程度
距離を置かざるを得ないのも確かです。
ただ、あくまでこれは「急激なグローバル化の反動」であって、この状態が理
想だとも思っていませんし、ここで定着するとも思っていません。もう少し時間
がたつと、デジタルネイティブがグローバル化を念頭に置いたコミュニティを作
り始め、少しずつインターネット上の情報がリアルな社会の情報のやりとりと等
価、もしくはシームレスになってくる時代が来ると思います。今はまだ「ネット
から仕入れた情報」と「実際に話を聞いたもの」が別々のものとして扱われてい
ますが(別々として扱わないと大変なことになるので)、これを意識しない時代が
来ると思っています。
そんな時代をになうであろう今の子どもに、どうやって今よりは少しでも理想
に近い、グローバル化に見合った社会構成員になってもらうにはどうしたらいい
だろう、ということを考えて今回書き始めています。
一部の精鋭だけがグローバル化の中で円滑なコミュニケーションを行える、と
いう状態では残念ながら社会はあまり変わらないと思います。あくまで、普通の
小学生が対象です。
#以上、思想のお話でした。
yhousako> 正直なところ、統一された何かがあるわけでもなく、学校に導入されたICT環境
yhousako> と教員の力量、力の入れ具合によって全く違うと思って頂いた方がよいと思います。
yhousako>
yhousako> 私は、むしろ家庭の環境や親の知識、意識、態度がどうであるかということの方
yhousako> が、この分野では重要であると考えています。
yhousako>
yhousako> #そもそも、小学校における情報教育は、教科ではありませんので、星の数ほど
yhousako> ある(ちょっと大げさだけどそんな気分)「○○教育群(Ex.安全教育、食育、
yhousako> キャリア教育、etc…)」の一つに過ぎません。
なるほど、学校をまたいだ統一された方針はまだ無いわけですね。
意識が重要なのは他の教育でも同様ではあるのですが、まだインターネット利
用に対する理想が社会的に醸成されていないので、他の教育よりはまだ軸がぶれ
ている可能性がありそうです。
yhousako> > 1.キッズフィルタリングをかけたWWWの閲覧
yhousako>
yhousako> インターネットに接続可能で、Webサイトの閲覧ができる公立の学校では、フィ
yhousako> ルタリングをかけていないところはないと思われます。むしろ、フィルタリング
yhousako> がきつすぎて、「使えない」状態のところも少なくないと思われます。
yhousako>
yhousako> 逆に、家庭において子どもたちが使うのに際して、フィルタリングをかけている
yhousako> 家庭の方が少ないのではないかと思います。そういうことをご存知なかったり、
yhousako> 子どもたちのネット利用の状況を把握していない親が多いというのが実感です。
学校単位ではフィルタリングされているのですね。
yhousako> > 2.児童一人一人のメールアドレスの取得
yhousako>
yhousako> 擬似的なインターネット(正体は自治体単位のイントラネットなど)で使える
yhousako> メールアドレスを配布するということはありますが、インターネットで使えるア
yhousako> ドレスを配っているところは、かなり少ないと思います。
なるほど。
小学校で個人アドレスを持っているとまでは思っていませんでしたので、これ
は予想通りでした。
yhousako> > 3.個人Webページの作成
yhousako>
yhousako> htmlで直接書いたり、Webページ作成ソフトで書いたりすることを含めて人気は
yhousako> ないですね。むしろ、自宅でブログとかプロフみたいに、自動的にWebページの
yhousako> 形にしてくれるようなサイトを良く利用しているみたいです。
プロフが中学生や高校生に人気があると言うことは調べられたのですが、小学
生がどうとらえているのかは知りたかったところではあります。
こちらで例に挙げたGoogle sitesなんかも、自動的にwebの形にしてくれるサー
ビスの一つですが、HTMLというマークアップの文法はさておき、情報を公開する
という方針が多少なりと彼らにあることが判りました。
yhousako> > 4.フィルタリングを行わないWWW接続
yhousako>
yhousako> 学校ではあり得ないと思いますが、家庭ではそういう状態の子が多いと思いま
yhousako> す。それについて、「家庭で注意されたことがあるか」子どもたちに聞いたとこ
yhousako> ろ、「気をつけなさい」と言われたことがある程度で、具体的に何をどうしろと
yhousako> いう指示は受けていない子が多いことがわかりました。場合によっては、変なサ
yhousako> イトを親子で楽しんでいる家庭もあったりして…。(^_^;;;
家庭でのWWW接続は、割合無法地帯だと思っています。なにせ、NintnedoDSiや
PSP,Wiiなど、接続する方法はたくさんありますし、ホットスポット経由でつな
ぐこともできてしまいますから。
ポルノサイトなども平気で見られてしまう問題は依然として残っていますね
(なぜポルノを子どもが見てはいけないのか、という大人の理由を彼らに理解さ
せるのは難しそうですが……)。
yhousako> > 5.児童固有のパソコンの所持
yhousako>
yhousako> これはさすがに多くないようですね。先述の通り、パソコンよりも携帯の需要が
yhousako> 高いです。子どもたちのやりたいことなら、携帯の方が簡単にできる。たしか
yhousako> に、パソコンは余計なことがたくさんできるし、仕事に使わないなら必要ないで
yhousako> すからね。でも、携帯の怖さというものを理解している親子がどれだけいるかと
yhousako> いうことになると、とても厳しい状況にあると思います。
なるほど。
多くないだろうとは思っていました。でも、携帯の方が人気があるという状況
はあまりよくないかなぁ……。
yhousako> 「情報発信」といったって、表現力や表現したい需要の低い子どもたちには、自
yhousako> 分の個人情報を切り売りする(プロフ)ことやどうでも良いような情報を流す
yhousako> (場合によっては誹謗中傷、いたずら、著作権侵害、etcというような)ことく
yhousako> らいしかやることはないかもしれません。
たいした情報である必要はないと思います。あくまで今回私が気にしているの
は、「自分が世界に繋がっている感触」です。個人メールも、Google sitesも、
プロフも、ブログも、不特定多数の世界に繋がる道筋の一つです。
先の長々とした話にもありましたが、グローバル化が進む世界において、ネイ
ティブとしてグローバル化に対応するにはどのような教育方針を持てばいいのか、
というところを念頭に置いています。
yhousako> この件に関しては、まだまだいろいろな要素が絡んでいて、詳しく書かなければ
yhousako> 真意が伝わらないかもしれませんが、あまり続けると、このMLの趣旨からどんど
yhousako> ん離れていきそうなのでこのくらいにしておきます。
ありがとうございます。
非常に参考になりました。
では、失礼します。
!
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